日本vs欧州調査レポート 03 日本建築を改めて

和歌山県岩出市
a0355629_12465908.jpg
「根來寺」(ねごろでら)
a0355629_11555125.jpg
桜の名所にもなっているこのお寺。せっかくなのでこのタイミングに行きました。
a0355629_12001785.jpg
お目当てはこの多宝塔。日本最大の木造大塔、とってもバランスよく特に斜めから見た姿が美しいです。翼のような伸びやかな屋根とふっくらちょっとかわいい円形の亀腹。2階部分が細すぎないのがちょうどよくって、他で見る多宝塔以上に心を奪われました。このデザインをした人のバランス感覚すごいです。
多宝塔の多くは真ん中の心柱は地面まで達してないのにあの相輪を支えて、建物本体の平面に対して屋根の平面が非常に大きい。構造的にはかなり無理があるデザインだけどこの大塔、1547年から建ち続けている。安定感抜群。
a0355629_12225937.jpg
このお寺自体、秀吉さんと対立したせいで大塔以外のほとんどが消失したらしく、今の伽藍の大半は江戸時代以降のもの。それでもすでに2、300年は経過していて、しっかりと風格を取り戻しています。

a0355629_12232603.jpg

池に浮かぶ聖天堂への太鼓橋は船が通過できるように一部床が開閉する仕掛け?!
a0355629_12232345.jpg
使い込まれた欄干が浮造(うずくり)になって触りごこちがすごくいい。
そこに至る廊下の一部に懇親の修繕跡が。
a0355629_12232957.jpg
a0355629_12233361.jpg
a0355629_12233603.jpg
a0355629_12233922.jpg
痛んだ桧の厚板をそっくり取り換えるのではなく、必要最小限の堅木で補修。なんだか愛おしく思える姿です。こうして手当てを繰り返して使い込まれる木の良さや、それを叶える日本建築の技術を誇りに思います。
a0355629_12482989.jpg
そしてそれを、静かに大切に守りたいと思うお寺さんや、ありがたく拝観するに日本人も誇りです。この日も参拝者を受け入れる穏やかなお坊さんの顔や、地域のボランティアガイドのおじいちゃん、ごみをきれいに持って帰るお花見の家族の姿がたくさん見れました。京都や奈良のメジャーな寺院とはまた違う地方の静かなお寺。雅な空気もすごくここちよくて、ああ日本人でよかったな~と思う調査となりました。

# by morizo-archi | 2018-04-02 12:55 | 日本vs欧州調査レポート | Comments(0)

日本vs欧州調査レポート 02 現代林業のパイオニア

◆◆◆「建築設計」「建築に関わる職人」「木と森・林業」をテーマにドイツ、北欧を滞在調査をします。
10年前に訪れた産地を含め、新たなネットワークや専門家に案内いただき国内も改めて調査します。
その模様を随時UPしていきます。◆◆◆


今回は明日香村で林業家として独立した久住一友さんに案内いただいた。
吉野川上村で働いていた時のご縁があった林業地や、
地元明日香村でのお仕事の様子、地域に根差した「森ある暮らしLab」での懇親会など
盛りだくさんな内容となった。

①調査コンセプト
【さまざまなタイプの林業地を見てきた久住さんの視点で吉野林業を見る】
久住さんとの出会いは、以前スギダラ関西の大阪弁屋台大学に登壇いただく際にヒアリングさせていただいたのがきっかけ。
幼少期の体験や関西の様々な森林で木や林業にまつわる仕事をされたこと、海外の森林の在り方を見たことなど、今に至る経緯も興味深い。
なにより、純粋に森や暮らしを良くしたいとキラキラとした目で語る久住さんに林業の未来を感じ、現地のご案内をお願いした。

a0355629_14120538.jpg
②内容
【三ヵ所の林業地見学】
はじめに行った林業地は銘木吉野材を育てる歴史ある林業地。
林道を30分ほど歩いて到着した先には樹齢300年の立派な杉。
圧巻。流石。堂々。そんな言葉がついでる迫力。

a0355629_10281102.jpg

吉野林業の歴史は500年と古く、その独特な施業は今も引き継がれている部分が多い。
現地に来ると他の林業地とまた違う空気感というか、時間の流れというか、不思議な感覚になる。
a0355629_10400255.jpg
1ヘクター当たり1万本植林し、5年、10年スパンで枝打ちや間伐を繰り返す。
土壌と手間が育んだ性のいい樹は日本三大銘木のと言われる所以。
a0355629_10280451.jpg
定規で引いたような真っすぐな杉の人工林。久住さんは「日本らしい」とスイスのフォレスターに言われたという。
良いとされる状態を目指して何十年も施業を繰り返して生み出される均一性。有機物にしてこの統一感はすごいことだと思う。
欧州ではどんな施業が行われているのか是非知りたい。
a0355629_12124070.jpg
次の見学地も見事な杉・桧が育てられている林業地で、こんなに車で入れる林道の近くに良材が残されているのは珍しい。
多くの吉野林業は急傾斜で道がつけにくい。材が高値で取引されていた時代ではヘリ出材が一般化され材を傷めず出在することが容易だったが、
原木単価がガタっと落ちた現在では、高値が付く材以外の木は出材コストに見合わず切り捨てることが多くなった。
ヘリの会社が現在1社だけになってしまった理由を、需要と供給のコストバランスが合っていないのではと久住さんは語る。
a0355629_12250225.jpg
うろに人が入れるほどの大木や先祖が大切に育ててきた樹齢数百年の良材も、相続税や借地返還のために切られることもあるらしい。
境界がはっきりしなくて管理が進まないこともよく聞く話で、山には問題が山積している。
銘木地の吉野でさえ大変な状況ということは、メジャーでない産地はどうなっているのだろう。
a0355629_12293834.jpg
最後にお邪魔したのは、20年生の若い林。
親から2ヘクタールを受け継いだオーナーさんは林業に無縁な暮らしをしていたが、
一度も手入れをしてこなかった林業地にソーラーパネルを設置するために久住さんに相談。
せっかくなのでと何とか切った材を活用できるように作業道や施業計画を提案されて初めてこの土地に関心を持ち、退職後の楽しみが生まれつつある。
ここでは自生する雑木を切らずに複層林を目指す計画とのこと。
オーナーさんの意向と現状から、久住さんらしい提案が出されて緩やかに方向を変えていく森林。
今は小さな動きだが、今後の林業の新しいスタイルが見える気がする。

③まとめ【Morizo-の目】
a0355629_12384677.jpg
ラボでは一緒に場所づくりをしている仲間の方達が明日香鍋を用意してくれた。
屋久島からの移住者さんや料理家さん。頼もしく穏やかな人柄の方ばかり。美味しく楽しい素敵なひと時。
a0355629_13464858.jpg



林業を林業だけでとらえない広い視点で山を見、木を見、日本の未来を見ている。そして実際にいろいろなことを実践し始め人が集まりそのムーブメントを作っている。決して派手なことをするのではなく地道にひたむきに純粋に。そんな人柄に魅かれて人が集うのも素敵♡
a0355629_12544555.jpg
この日共に企画を依頼した沖本大工さんのつながりで素敵な人たちとも沢山出会えいいご縁が生まれたのもきっと久住力。
ほんとにありがとうございました。
欧州調査では、スイスのフォレスターさんにも会いに行って久住さんの見た森を私もぜひ見てみたいと思います。



a0355629_12544716.jpg
久住一友さんのABOUT
1980年大阪府出身。
森林に関わる様々な仕事を経て、2016年に久住林業を設立。
林業地で行われていることと現代の暮らしの価値観の相違
に違和感を覚えていた頃に、スイス林業に出会う。
帰国後、日本でもスイスのような日常に森がある暮らしを
つくりだしたいと、環境面と経済面を両立させた森づくり、
そこと繋がった地域づくり、今はない価値観を創り出すラ
ボラトリーを同時進行で小さく始めだしたばかり。


# by morizo-archi | 2018-03-22 22:56 | 日本vs欧州調査レポート | Comments(0)

日本vs欧州調査レポート 01 情報ファンディング発足

a0355629_13145863.jpg
 今年の10月に欧州へ行く。1年間の滞在希望。出国予定日まであと約200日となった。現地で何をどこまで見れるのか予定は全く未定。不安と期待が5050.残された時間で欧州行きの準備と国内調査を進める。その模様を書き留めていこうと思う。

 欧州行きの準備でするべきことは、もっぱら情報収集とネットワーク作り。そして、現地で挑戦してみたいことの計画、企画書作成、プレゼン資料の制作など盛りだくさん。そのほかにもビザの準備や語学など不得手なことにも取り組まなければならない。

もう一つの課題は、国内の再調査。林業や木、建築デザインなど実情を日本と欧州で比較する目的もあるため、日本の状況ももっと知っておかなければ。

木に感心を落ち始めた2006年頃はチャンスを作っては林業地や木材を扱うところに足を運んでいた。現在も機会があるたび訪れているが、特定の場所に行くことが多く、改めて範囲を広げた国内調査をすることとする。当初よりネットワークも広がり、視点も変わっているかもしれない。それはそれで楽しみだ。


この日記の目的は、Morizo-が何をインプットしたいのか、アウトプットしようとしているのかを表現し、賛同者から情報を集めたいとい。そのための発信。

クラウドファンディングのようにお金を集めるのではなく情報やご縁を集めたい。Morizo-にまだまだ足りないものは情報だ。だけど、あまたある世の中の情報の中から自分に必要な情報だけを汲み上げることが苦手。これを克服するよりも、趣旨が伝わった人からの直接情報を収集する方がきっといい。そう思い至り、勝手に情報ファンディングを立ち上げてみる。

a0355629_13104492.jpg
そして一番必要なものがネットワーク。

これまで少ないネットワークの中でたくさんの人に助けてもらった。

今後はこれまで以上にネットワークがカナメ。是非沢山の方からのご支援ご協力をお願い次第です。


# by morizo-archi | 2018-03-11 13:02 | 日本vs欧州調査レポート | Comments(0)

もくちくカフェweb版 04 地鎮祭

a0355629_17105305.jpg
a0355629_16465149.jpg
今日は地鎮祭。
いよいよ工事が始まります。

何度参列しても身が引き締まる気持ちになります。

新しく建築する建物に関わる人たちの幸せを願って、工事の安全を願って、土地の神様にご挨拶をする儀式です。
最近はいろんなことが簡略化される時代になりましたが、私が関わらせてもらった新築工事では、地鎮祭の開催率は高いです。

何にもない敷地に笹を立て、縄を貼り、お供えをする。
宮司さんが神様をお呼びするうなり声?が静かに響きます。
なんとも不思議な空気。
よその国の人が見たら何を思うでしょうか?

敷地に見立てた砂の山に差した笹を木の鎌で設計者が元気よく刈ります。
「えい、えい、えーいい!」
土地の整地という意味です。


次に施主さんが木の鍬で砂山の真ん中を掘ります。
「えい、えい、えぃ」
宮司さんに教えてもらいながら。
少し戸惑いながら。



そこにシズメモノを埋め、
最後に工事業者さんが木の鋤で
「えい!えい!えい!」
しっかり砂をかぶせます。



三者が力を一つに。
初めての共同作業というところですか。


地域差があるかもしれませんが
地鎮祭(トコシズメノマツリ)
「苅始め(カリソメ)の儀」、
「穿初め(ウガチゾメ)の儀」、
「鎮物埋納(シズメモノマイノウ)の儀」
というそうです。
a0355629_17160877.jpg
どうぞ、いい家が無事建ちますように。
そこで家族が幸せな暮らしを送れますように。




a0355629_17160538.jpg
今日のカフェタイムは・・・
神様へのお供えの酒のおさがり。
一般的には、白い杯に皆少しずつお酒を入れまわし乾杯します。
今日の地鎮祭ではお施主さんたちは今年の干支の杯で乾杯。
記念にプレゼントしてもらっていました。

内田さん、おかわりもらわんでいいか?
・・・・お施主さんに何かがバレています。

とにかく、また新しい現場が始まる!
楽しみで仕方ありません。
みんなで力を合わせて頑張ります。



# by morizo-archi | 2018-01-22 17:16 | もくちくカフェweb版 | Comments(0)

Morizo-の設計 03 「基本設計」

基本設計
a0355629_17230008.jpg
楽しいです。
a0355629_17225710.jpg
何案も考えてしまいます。

もっと良くならないか。

ここを変えてみたらどうなるか。

発想を変えてみたらどうなるか。

ご要望が多ければその分だけ悩みますが、楽しいです。



現地の環境を読み取ることは設計者にとって、最初に取り掛かる大事な一歩です。

展望、日当たり、敷地形状、隣地状況、、、、

こちらの意思で計画できないこれら環境には、いろんな要素が含まれています。

環境が設計に及ぼす影響はとても大きいです。

土地探しに悩まれるのはごもっともですね。



設計者は、その与えられた環境を踏まえて、クライアントの意向や思いをくみ上げ、整理し、アウトプットします。

図面化してみて見えてくることを、
隣地の建物も合わせて模型化してわかることを、
何かを取れば何かをあきらめないといけないこともあることを、

丁寧に説明してみます。


少しづつ伝わって行くのがわかります。

設計者にとってクライアントの表情やしぐさはとても大切なシグナルです。

いっぺんに決まらなくても、少しずつベストプランに近づいていく手ごたえを感じれる打合せは楽しいです。

ここで始まる新しい暮らしを想像しながら創造していきます。


# by morizo-archi | 2018-01-21 17:41 | Morizo-の設計 | Comments(0)

西粟倉村 ツギテプロジェクト

感動しました。その試みと、その姿に。
a0355629_23372985.jpg
a0355629_23492964.jpg
ああ、なんかいいな~。そんな空気がここにありました。また行きたい。また会いたい。そんな気持ちにさせてくれる場所と人。
真似は出来ないけど理想とあこがれの場所と人たちです。

岡山県西粟倉村。今年最強の寒波の中、みんなで作業したことをきっと忘れないし、また来た時思い出す。
どこかでようびのことを見た時にもきっと思い出す。いろんなことがつながるきっかけを頂けた。
すごいことやってるな~。と心の底から思ったので。書きます。



ツギテプロジェクトは、2016年1月に工場を全焼してしまった家具工房「ようび」が再建に挑むプロジェクト。
5500本の木を人の手で刻んで組み上げて工房やショールームを築きます。

みんなで作るワークショップ「ツギテノミカタ」にスギダラ関西の中村部長と筧さんと共に参加。
ようびの若いスタッフ10名が目をキラキラさせて迎えてくれました。


私の一日目の作業はノミで木を削る加工。
a0355629_08264030.jpg
a0355629_08264000.jpg
a0355629_08264062.jpg
予め丸鋸で刻んでおいた部分を丁寧に整えるのですが、すーっときれいになる子や、節があってなかなかな子もいます。
でも節がの翌日の作業の時にちょっと役に立つ子だったりして、一長一短いろんな個性の子が沢山集まってこの建物は出来ていくのです。
昼からは棚板になる材料の加工を4人の金沢林業女子のメンバーと一緒にさせてもらいました。
1人が材の選別、1人が墨付け、3人がのこぎりでカット。素晴らしいフォーメーションで160枚の作業が終わりました。
そのあとは床に凍り付いた木くずや木っ端を取り除く作業。吹きさらしのコンクリートの上での作業は体に応える寒さです。


2日の作業は
a0355629_08405847.jpg
a0355629_23495569.jpg
継ぎ手部分にカスガイを取り付けていく作業です。
新人スタッフの福田さんんとペアで接手の具合を一本一本調整しながら取り付けていきます。
ほぼ組み上がった木組みの加工を調整するのはなかなかな作業で、大きなクランプやハンマーを60cm角の格子の中で体をよじ曲げながら扱うのは大変。

いつも職人さんたちはこんな苦労をしながら良い仕事を求められているのかと、設計しているだけでは見えない建築の「部分」が現場には沢山あることを改めて感じます。足場の位置や作業体制、道具の整備は作業効率にとっても影響します。何より危険度がうんと変わります。
a0355629_23495399.jpg
a0355629_23495030.jpg
素人の人がいつでも何度でも参加できるこのプロジェクトにはいろんなものが詰まっています。

一つ一つの作業は本当に小さく地味ですが、それ自体にも大きな意味があると思います。
こうやってプロもアマもかかわって建物を建てる。昔々からあった姿ですよね。
できる人ができることをする。茅葺の屋根をご近所さん同士が手伝って作業するのを「結」と言ったそうです。
そんな憧れの建築スタイルに携われたことがありがたくて。


この週末は最多参加者だったそうで夜には代表の大島家で大宴会をしていただき、
とっても楽しく、美味しく、おもてなしやいろんな人との交流がうれしすぎました。
極寒の中での作業もきっといい思い出になります。
ツギテプロジェクトは2月末の完成を目指してまだまだ作業は続きます。
近くには粟倉温泉もあるし、寒くてもこのご褒美で極楽も味わえます。
どなたさまも楽しく参加できますよ☆
詳しくはこちらから→http://tsugite.youbi.me/
5月のOPENが楽しみです♡


a0355629_23494090.jpg





# by morizo-archi | 2018-01-15 09:06 | 時々山へ(+月一山へ2016) | Comments(0)

建築設計室Morizo- 設計士の目線で暮らしや空間のあれこれを発信します。


by morizo-archi
プロフィールを見る
画像一覧
通知を受け取る