カテゴリ:日本vs欧州調査レポート( 6 )

日本vs欧州調査レポート 06 産地祭の意味と役割 

2018.05.05

■■■越前1300年大祭■■■

①調査コンセプト【素材産地の歴史とこれからを感じる】

福井県越前今立。1500年の歴史を誇る和紙の産地。ここで毎年春と秋に神と紙のまつりが開催される。今年で1300年目を迎えるこの祭、歴史の長さが半端ではない。今年の50年に一度の大祭に触れ、産地のこれからを感じてみたいと訪れた。

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②調査内容【節目の祭】

境内に入る鳥居には日本国旗が掲げられ、その両側にはいかにも長年立ち続けている立派な杉や銀杏の樹。紙祖神 岡太神社・大瀧神社。

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この複雑な形状の屋根は一度見たら目に焼き付くインパクト。1843年に建てられたにしてはすごいデザインと精度。

1500年前、村人に紙漉きの技術を伝えた伝説の姫『川上御前』を、和紙の神様・紙祖神として祀る。国の重要文化財「大滝神社」。

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社全体に伝承の物語を描いたデザインもすごいが、使われている材料もかなりの良材。

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天保の大飢饉後の時代にこれだけのものがつくられたのには、信仰の深さがうかがえる。

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2年前に訪れた時は初日と二日目を、今回は最終日の締めくくりを見ることができた。大祭の今回はいつもより一日多い4日間。様々な神事が毎日執り行われる。装束や神輿も普段より増え、来場者も2~3倍とのこと。

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最終日のお昼に勢いよく境内を出発した二台の神輿。細かい細工に漆と金箔、珍しい8角形をしている。ほんとに重いらしく、これを担いで五箇の神社を巡回するのは大変。大祭の時にだけ2台になる神輿に担ぎ手も2倍必要で、今年は沢山の若手が参加していた。

青空と山並みと神輿の鮮やかなコントラストが印象的。この祭りめがけて帰郷した若者も、ずっと祭りを支えてきた地域の人も、活き活きして見える。なんていい祭。

神輿巡回の見せ場でもある「もみ」。各神社ごとに次の神社に神輿を行かせまいと揉み合う。最終地点の大瀧神社に戻るひとつ手前、岩本神社で最後のもみ合いは最大級に。

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みんなもうクタクタで、でも見せ場を盛り上げようと、力を振り絞る。

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夜には山の上の社に神様をお送りする「お上り」という神事が。神様がお上がり用の神輿に乗り換えいよいよ出発。流石大祭だけあって、いつもにない参加者の列が30分かけて急な坂を上っていく。ただ上がるだけでも結構な斜面なところを4日間の疲れもピークで神輿を担いでここを登る。途中途中で担ぎ手交代の声がかかるも、なかなか変わってもらえなのが辛そう。無事に2台とも社に到着し、神様をお返しすると再び空になった神輿を担いで長蛇の列が下山する。そのとき歌われる祭の歌がなんとも言えない雰囲気を作る。人力だけでこんな祭が営営と続けられてきたことを思うと感慨深い。

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下の神社に戻り最後の階段を力を振り絞って登る姿がまたたくましく、見惚れてしまう。

 

 

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まつりに合わせてエリア内のいろいろな場所で催しや作品展示が行われていた。青年部のメンバーがそれぞれ自社の技術を活かした作品を発表。新しいデザインや技法、表現方法でチャレンジしているのがいい。斬新で和紙の可能性をまだまだ感じることができ、ワクワクする。和紙と墨がとても素敵に使われた荒井恵子さんの作品展も工芸館で開催されていた。設計士として和室の可能性を大いに感じる感覚があり創造力が掻き立てられた。

今後の今立が今日の様に若手で活気に満ちた産地になればと、勝手ながらに思う祭だった。

やなせ和紙のご夫妻を筆頭に、今回ご案内いただいた皆さまに感謝いたします。



③まとめ【Morizo-の目】

日本一を誇る歴史と技術を持つ老舗越前ですら刻々と減っていく作り手やメーカー。なくなってしまうには惜しすぎるこの優れた素材や技術をどうしたら守っていけるか。祭をきっかけに地域内外の人たちがどんどん和紙の良さを探求し、表現し、刺激を受け合うことが、まず今できることなのかもしれない。また老舗産地だけあって海外からの関心も高く、欧米人を中心に外国訪問者が多いことにも注目したい。

いずれにしても、産地の歴史ある祭の意味と役割は大きいと感じることができた。


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柳瀬晴夫さん・柳瀬藤志子さんのABOUT

昭和の初めより手漉き襖を漉き始める()やなせ和紙の伝統工芸士ご夫妻。現在も数少ない手漉きメーカーとして後継者を育て技術を継承している。高度な技術を要する本鳥の子ふすま紙から、和紙製小物商品まで、幅広く製造する。近年では楮や三椏など和紙の原料栽培にも携わり、本来の和紙の良さを追求する。祭や地域活動も行いつつ、講演等で各地を飛び回る越前和紙を牽引するご夫妻。


 いつもお世話になりありがとうございます。この度もいいお祭りを見せて頂きありがとうございました。




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by morizo-archi | 2018-05-12 15:31 | 日本vs欧州調査レポート | Comments(0)

日本vs欧州調査レポート 05 山と海のつながりかた 



2018.04.28

▲▲▲吉野林業&牡蠣猪BBQ▲▲▲

①調査きっかけ【年始の林業ツアー】

7代目山守 中神木材 中井章太さんの取り組みにはいつも驚かされる。そして感動する。

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今年1月7日山の神様にお参りをする良き日にちびっこを含む10人ほどで林業地見学&鉞(まさかり)体験の企画がありました。

http://purewoods.com/blog/?p=994

土場でのランチタイムに趣味で猟をする中井さんの仲間に遭遇。

4月に鳥羽から牡蠣が届くのでここでバーベキューをする予定。せっかくなら吉野の猪と鹿も一緒に食べよう!と盛り上がり、ついにその日が来た。

何度も来ている吉野林業地だが、今回は山と海が繋がり、山に返ってくるレアなケースを見てみたくて参加させていただいた。



②調査内容【海の人と山を見る】

午前中は牡蠣養殖の漁師さんと1月のメンバーのご家族と共に、再びあの林業地へ。

雪景色が新緑に変わり、またちがった趣。

出材装置として今後の林業に活かせるか実験中という「スネークライン」

1月に来た時よりも距離が延びていて、いろんな活用方法にも期待が高まる。

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仮設用の鋼管を利用した走行機には斬新な発想が満載。考案者はお寺の鐘を自動で撞く装置を作る上田技研産業株式会社さん。

なんと起動装置に市販の電動ドライバーが使われるという代物。漁師さんも興味津々。

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そして様々な樹齢エリアを見学。

鳥羽の浦村から来た漁師さん曰く、一般的には筏材として竹が使われることが多い中、

鳥羽では地域材を使って桧で筏を作ってきた歴史があるらしい。

かつては耐用年数が10年程あった桧材が近頃3年、下手したら1年というケースがあるとのこと。

それを受けて中井さんが、昨今の木材流通事情を話す。


確かにその理由がわかる状況を設計士としても大いに感じている。

何においてもスピードが求められる時代になって、昔の様に「ゆっくり」が許されない風潮。

伐ってすぐ使うために出材方法や乾燥技術が進化して、ほしいものがすぐ手に入りやすくなった。

その代わりに、長く使うという視点が二の次になることも。

木の場合、最適な時期に伐り、皮を剥きしっかり山で葉枯らし乾燥した後、出材後も乾燥期間を経て適材適所使われてきた。

時間がかかる分、木自身が持つ防腐防虫成分や強度保持など、木のいいところを残せていた。今はそれを活かすことがなかなかむつかしい時代。

昨年中井さんが出材した桧で作った筏はそのあたりを配慮して作られたもの。使う人が何を必要としているか、顔の見えるものづくりならでは。


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何度きても新しい発見あがる林業地ツアー。この日のなるほどは、「龍が昇る」。

一見立派な杉の木が、製材せずとも山で立った状態で難点がわかる例。

杉は水分の多い木で、寒い日にその水分が凍ることで木の内部が膨張し表皮にその割れが見えている。

そんな木でもむやみに切ってしまわず隣の木との関係や周りの環境への影響を見極め、残すか伐るかを決めていく。

自然現象も含めて丁寧に育林を行うのも吉野林業の特徴。


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この日は映画の撮影地となった中井さんの先祖が暮らしていた場所で撮影秘話や偶然?必然?的な不思議な話も聞けた。

山や木、自然の恵みを題材にした河瀬直美監督の映画「vision」。公開が楽しみ。http://vision-movie.jp/sp/



BBQがスタートする頃には土場に沢山の人が。山と海の人だけでなく街や田畑の人もいる。

びっくりするほどの立派なアスパラガスと長ネギ。

これは、中井さんが木をおがくずにし、

山口さんが街で酵素浴http://kousoyoku-en.com/に使った後、

そのおがくずを堆肥として育てた無農薬野菜。

一周廻って吉野の山に戻ってきた。

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吉野の木を肥料に野菜を育てた農家さんも、

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吉野の山で鹿を獲ってきた猟師さんも、

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吉野の桧を筏に使った牡蠣漁師さんも、

吉野の恵みを活かして作ったものを持寄り集合。みんなでそれを囲む贅沢。炭で焼いて丸かじり。甘くてジューシー。もちろん味は絶品。

総勢30名ほどのBBQとなり笑顔があふれる。こんな貴重な機会に参加させて頂き幸せ。



③まとめ【Morizo-の目】

今はひと昔前の様に産地でひとつのものを一生懸命生産していれば生活ができていた時代ではなくなりつつある。確かに大変な時代。でも今回の様にその状況を何とかしようと試行錯誤しながら各地で頑張っている人たちが繋がり、顔を合わせる機会ができたのは、この時代故という気もする。ある意味、満たされた後のステップ。今がそのタイミングなのかもしれない。

         

中井さんの仲間の山師さん、製材所さん、役場の人、農家さん、酵素風呂店で働くスタッフさん、木工職人さんや木を素材に作品を作る作家さんまで、まさに山から町を経て海までつながった瞬間。こんなことがあるんだと、改めて一人の山守さんのやっていることに感動した。家族や赤ちゃんを連れて来た普段あまり山と関わりのない人にも、この素敵な光景からきっといろんなことが伝わったように思う。



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中井章太さんのABOUT

吉野林業の担い手 中神木材山守七代目。昨今の木材価格の低迷に伴う森林経営の先行き不透明感に不安を感じ、既存の原木市場中心の販売体制から、新たに消費者の顔が見える販売流通のしくみをつくるべく新商品開発や林業地ツアー、やまとまち、各地の生産者、人と人、民間と行政をも繋ぐ様々な活動をしている。http://purewoods.com/index.html


この度はこんないい機会に参加させていただきありがとうございました。


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by morizo-archi | 2018-05-08 19:18 | 日本vs欧州調査レポート | Comments(0)

日本vs欧州調査レポート 04 日本一の広葉樹市場

2018.04.14

▲▲▲岐阜広葉樹原木市見学▲▲▲

①調査コンセプト【杉桧の原木市との違いを見る】

昨年東京ビックサイト出店時に知り合った岐阜の「ヤマガタヤ産業株式会社」田中開発本部長さんに広葉樹原木市をご案内頂いた。

毎月2日間開催される競り市は、初日が板材、2日目は原木。今回は大きな市の翌月のため、規模が小さめとのこと。それでこの多さ、大きさ。関西圏の杉桧原木市とずいぶんな差がある。
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買い手は、事前にめぼしいものを見に来てアタリを付けておいて組合の振り子さん(ここの振り子さんは鐘を振ってなかったけど)の掛け声に合わせて競り落す。だれも手を上げないものもあれば、人気の材はみんなほしがり競り上がっていく。売り手の希望金額から始まり倍以上になるものもあったけど、この日の落札率は5割を切っていたように思う。

会場には売り手さんも来ていて、買い手が誰も手を挙げないと値下げの合図を出す。その値段なら興味あり!という買い手との駆け引きが始まり、競りの中で落札額の折り合いを振り子さんが付ける。このときお互い横にいるのに直接は目を合わせず振り子さんを介して意思表示をするのが私的にはなんとも面白い。
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②内容【材について】

広葉樹は日本中から岐阜に集まるらしい。世の中の主流が杉桧の取引となっていたころから熱心に広葉樹を売り買いし続けた実績が、日本一を誇る広葉樹市場に成長させた。良材沢山集まるから、いい買い手が集う。いい買い手が集うから、いい材が出品される。年に3回の大市ではさらにその威力が増すらしい。

樹種も最近出材量が多いケヤキに始まり、クリ、トチ、ナラ、赤松、など多種多様。そのほとんどは育林されたものではなく、寿命を迎えた老木や神社仏閣のご神木と言った立派なもの。

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なんといっても針葉樹市との違いは原木一本の材積。この日の最大は7㎥近かった。こんなのどうやって使うのか?そもそも普通の製材所ではきっと製材できないはず。目あいも良く、年輪も細かい良材。きっと銘木賞に見合う価格で落札されたに違いない。特に大きいものや、選ばれし良材は立米単価ではなく、一本単価で値が決まる。

材の状態も様々で、ウロが大きく入ったものや、病気にかかって手当を受けていた跡のある木、土場に置かれてる間に飛んできた種が発芽して別の植物が育ち始めているもの・・・。広葉樹の使い方は千差万別なため、状況がどうであれほしい人にはお目当て材となる。そういった面でも杉桧との違いは大きい。

トレーラーでないと運べない巨大な丸太やド迫力の原木を横目に、前日の板市の材も見学させてもらった。
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板材と言えども、とにかくデカい。去年原木で数百万円で落札された材が今年は板材になって競りに出されていたらしく、かなりいい値で取引されたとのこと。これは成功例だが、原木購入はバクチとよく言われる。良材が曳けたら儲かるけれど、そうでない場合もあれば、材の中に石や鉄が入っていて帯鋸の刃が欠けるなど、曳いてみないとわからないリスクも多い。

育林された杉桧と違って自由な形をしている分だけに歩留まりも悪く、ロスが大きい。そんなリスクに今一度挑んで商品開発を試みるヤマガタヤ産業さん。すごいなーと思う。

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社長さんは現在岐阜銘木協同組合の会長もされていて売り買いにも参加。あれはヒッコリ。スキーの板にする木だよ。こっちはヤナギ。これはいい玉杢が出てるね。あれは本人しかわからない暗号のメモ。などなど、いろいろ教えてくれた。
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次々と巨大な良材を見せてもらい、もう感覚がマヒしてくる。サイズも大きすぎて写真に納まりきらない。
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一緒に行った才本さんは背が高いはずなのに直径がその背を優に越している。例の成功例のケヤキの一部。ほんとに日本にあった木なのか疑ってしまうほどのサイズ感。

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元(木の地面に近い部分)の欠片ですらこのカタマリ。人が一緒に写ってないと大きさがよくわからない。

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広葉樹だけでなく杉桧もある。これはほぼ無節で8m。東濃桧の赤味は薄いピンクでとてもきれい。いったい何に使ったらいいのやら。

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珍しい黒柿孔雀杢。これが希少で高値が付くことを知らない地方では薪にして燃やされていたことや、屋久杉のような産地認証のシールの有無が値を左右することなどの裏事情を教えてもらったり、最近沢山出回っているケヤキは安く、この前まで安価だったトチは流通量が減ると途端に高騰し始めている、など興味深い話は尽きない。
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③まとめ【Morizo-の目】

広葉樹の幅広い市場に加え、多彩な用途とデザイン性は、杉桧以上に時代や流行の影響を受けているように思えた。またその流れが速く、時価の変動が大きいように思う。

市場の規模が大きいことに驚いたものの、ここは日本中から集まった最大級の市場だから。供給量は杉桧に比べるとかなり少ないため、需要が少し増えるとすぐに品薄になる。用途によっては少なくとも2、3年寝かさないと使えないものも多く、決して安定的に欲しい材がいつでも手に入るわけではないのかもしれない。

実際建築現場からは「○○は今手に入りにくい」「○○の値がすごく上がっている」などと言われ仕様変更を打診されることも少なくない。広葉樹は外材の割合も多く、輸入先の国策や、国際情勢によっても状況がコロコロと変わる不安定な市場だと思う。

経済の為に必要以上に売買していると、そのうち200300年生の貴重な資源を枯渇させてしまう可能性もある。遠い先まで見据えた計画的な伐採や、環境保全を誰が何処でどのタイミングで考えているのか、どんなビジョンを立てているのかとても気になる。というか心配になる・・・。


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最後にヤマガタヤさんの準備中工場も見学させてもらった。染色ピアノ塗装品や、藍染天板、その他にも5000枚を超える天板材など、桁外れの商品力を武器に新たな展開を試みる元気な会社。地方の産業と雇用を支えているのも素晴らしいと思った。製材所から流通、そしてメーカーへ、100年の実績と、時代に沿った柔軟性で、一つの新しい材木屋さんの在り方がここにあると感じた。この度は貴重な体験をさせて頂きありがとうございました。


ヤマガタヤ産業株式会社さんのABOUT

創業大正72月(設立昭和498月) ヤマガタヤ産業が誕生してから100年。岐阜で生まれ、岐阜で育ってきた、地元密着企業。岐阜が大好きで、岐阜に何か貢献したい、という想いでいろいろな事業にチャレンジしている。



◆◆◆「建築設計」「建築に関わる職人」「木と森・林業」をテーマに◆◆◆

今年10月から欧州を滞在調査予定。それに先立ち日本国内も改めて視察。随時レポートを配信中。










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by morizo-archi | 2018-04-19 22:05 | 日本vs欧州調査レポート | Comments(0)

日本vs欧州調査レポート 03 日本建築を改めて

和歌山県岩出市
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「根來寺」(ねごろでら)
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桜の名所にもなっているこのお寺。せっかくなのでこのタイミングに行きました。
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お目当てはこの多宝塔。日本最大の木造大塔、とってもバランスよく特に斜めから見た姿が美しいです。翼のような伸びやかな屋根とふっくらちょっとかわいい円形の亀腹。2階部分が細すぎないのがちょうどよくって、他で見る多宝塔以上に心を奪われました。このデザインをした人のバランス感覚すごいです。
多宝塔の多くは真ん中の心柱は地面まで達してないのにあの相輪を支えて、建物本体の平面に対して屋根の平面が非常に大きい。構造的にはかなり無理があるデザインだけどこの大塔、1547年から建ち続けている。安定感抜群。
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このお寺自体、秀吉さんと対立したせいで大塔以外のほとんどが消失したらしく、今の伽藍の大半は江戸時代以降のもの。それでもすでに2、300年は経過していて、しっかりと風格を取り戻しています。

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池に浮かぶ聖天堂への太鼓橋は船が通過できるように一部床が開閉する仕掛け?!
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使い込まれた欄干が浮造(うずくり)になって触りごこちがすごくいい。
そこに至る廊下の一部に懇親の修繕跡が。
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痛んだ桧の厚板をそっくり取り換えるのではなく、必要最小限の堅木で補修。なんだか愛おしく思える姿です。こうして手当てを繰り返して使い込まれる木の良さや、それを叶える日本建築の技術を誇りに思います。
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そしてそれを、静かに大切に守りたいと思うお寺さんや、ありがたく拝観するに日本人も誇りです。この日も参拝者を受け入れる穏やかなお坊さんの顔や、地域のボランティアガイドのおじいちゃん、ごみをきれいに持って帰るお花見の家族の姿がたくさん見れました。京都や奈良のメジャーな寺院とはまた違う地方の静かなお寺。雅な空気もすごくここちよくて、ああ日本人でよかったな~と思う調査となりました。

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by morizo-archi | 2018-04-02 12:55 | 日本vs欧州調査レポート | Comments(0)

日本vs欧州調査レポート 02 現代林業のパイオニア

◆◆◆「建築設計」「建築に関わる職人」「木と森・林業」をテーマにドイツ、北欧を滞在調査をします。
10年前に訪れた産地を含め、新たなネットワークや専門家に案内いただき国内も改めて調査します。
その模様を随時UPしていきます。◆◆◆


今回は明日香村で林業家として独立した久住一友さんに案内いただいた。
吉野川上村で働いていた時のご縁があった林業地や、
地元明日香村でのお仕事の様子、地域に根差した「森ある暮らしLab」での懇親会など
盛りだくさんな内容となった。

①調査コンセプト
【さまざまなタイプの林業地を見てきた久住さんの視点で吉野林業を見る】
久住さんとの出会いは、以前スギダラ関西の大阪弁屋台大学に登壇いただく際にヒアリングさせていただいたのがきっかけ。
幼少期の体験や関西の様々な森林で木や林業にまつわる仕事をされたこと、海外の森林の在り方を見たことなど、今に至る経緯も興味深い。
なにより、純粋に森や暮らしを良くしたいとキラキラとした目で語る久住さんに林業の未来を感じ、現地のご案内をお願いした。

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②内容
【三ヵ所の林業地見学】
はじめに行った林業地は銘木吉野材を育てる歴史ある林業地。
林道を30分ほど歩いて到着した先には樹齢300年の立派な杉。
圧巻。流石。堂々。そんな言葉がついでる迫力。

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吉野林業の歴史は500年と古く、その独特な施業は今も引き継がれている部分が多い。
現地に来ると他の林業地とまた違う空気感というか、時間の流れというか、不思議な感覚になる。
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1ヘクター当たり1万本植林し、5年、10年スパンで枝打ちや間伐を繰り返す。
土壌と手間が育んだ性のいい樹は日本三大銘木のと言われる所以。
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定規で引いたような真っすぐな杉の人工林。久住さんは「日本らしい」とスイスのフォレスターに言われたという。
良いとされる状態を目指して何十年も施業を繰り返して生み出される均一性。有機物にしてこの統一感はすごいことだと思う。
欧州ではどんな施業が行われているのか是非知りたい。
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次の見学地も見事な杉・桧が育てられている林業地で、こんなに車で入れる林道の近くに良材が残されているのは珍しい。
多くの吉野林業は急傾斜で道がつけにくい。材が高値で取引されていた時代ではヘリ出材が一般化され材を傷めず出在することが容易だったが、
原木単価がガタっと落ちた現在では、高値が付く材以外の木は出材コストに見合わず切り捨てることが多くなった。
ヘリの会社が現在1社だけになってしまった理由を、需要と供給のコストバランスが合っていないのではと久住さんは語る。
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うろに人が入れるほどの大木や先祖が大切に育ててきた樹齢数百年の良材も、相続税や借地返還のために切られることもあるらしい。
境界がはっきりしなくて管理が進まないこともよく聞く話で、山には問題が山積している。
銘木地の吉野でさえ大変な状況ということは、メジャーでない産地はどうなっているのだろう。
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最後にお邪魔したのは、20年生の若い林。
親から2ヘクタールを受け継いだオーナーさんは林業に無縁な暮らしをしていたが、
一度も手入れをしてこなかった林業地にソーラーパネルを設置するために久住さんに相談。
せっかくなのでと何とか切った材を活用できるように作業道や施業計画を提案されて初めてこの土地に関心を持ち、退職後の楽しみが生まれつつある。
ここでは自生する雑木を切らずに複層林を目指す計画とのこと。
オーナーさんの意向と現状から、久住さんらしい提案が出されて緩やかに方向を変えていく森林。
今は小さな動きだが、今後の林業の新しいスタイルが見える気がする。

③まとめ【Morizo-の目】
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ラボでは一緒に場所づくりをしている仲間の方達が明日香鍋を用意してくれた。
屋久島からの移住者さんや料理家さん。頼もしく穏やかな人柄の方ばかり。美味しく楽しい素敵なひと時。
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林業を林業だけでとらえない広い視点で山を見、木を見、日本の未来を見ている。そして実際にいろいろなことを実践し始め人が集まりそのムーブメントを作っている。決して派手なことをするのではなく地道にひたむきに純粋に。そんな人柄に魅かれて人が集うのも素敵♡
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この日共に企画を依頼した沖本大工さんのつながりで素敵な人たちとも沢山出会えいいご縁が生まれたのもきっと久住力。
ほんとにありがとうございました。
欧州調査では、スイスのフォレスターさんにも会いに行って久住さんの見た森を私もぜひ見てみたいと思います。



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久住一友さんのABOUT
1980年大阪府出身。
森林に関わる様々な仕事を経て、2016年に久住林業を設立。
林業地で行われていることと現代の暮らしの価値観の相違
に違和感を覚えていた頃に、スイス林業に出会う。
帰国後、日本でもスイスのような日常に森がある暮らしを
つくりだしたいと、環境面と経済面を両立させた森づくり、
そこと繋がった地域づくり、今はない価値観を創り出すラ
ボラトリーを同時進行で小さく始めだしたばかり。


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by morizo-archi | 2018-03-22 22:56 | 日本vs欧州調査レポート | Comments(0)

日本vs欧州調査レポート 01 情報ファンディング発足

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 今年の10月に欧州へ行く。1年間の滞在希望。出国予定日まであと約200日となった。現地で何をどこまで見れるのか予定は全く未定。不安と期待が5050.残された時間で欧州行きの準備と国内調査を進める。その模様を書き留めていこうと思う。

 欧州行きの準備でするべきことは、もっぱら情報収集とネットワーク作り。そして、現地で挑戦してみたいことの計画、企画書作成、プレゼン資料の制作など盛りだくさん。そのほかにもビザの準備や語学など不得手なことにも取り組まなければならない。

もう一つの課題は、国内の再調査。林業や木、建築デザインなど実情を日本と欧州で比較する目的もあるため、日本の状況ももっと知っておかなければ。

木に感心を落ち始めた2006年頃はチャンスを作っては林業地や木材を扱うところに足を運んでいた。現在も機会があるたび訪れているが、特定の場所に行くことが多く、改めて範囲を広げた国内調査をすることとする。当初よりネットワークも広がり、視点も変わっているかもしれない。それはそれで楽しみだ。


この日記の目的は、Morizo-が何をインプットしたいのか、アウトプットしようとしているのかを表現し、賛同者から情報を集めたいとい。そのための発信。

クラウドファンディングのようにお金を集めるのではなく情報やご縁を集めたい。Morizo-にまだまだ足りないものは情報だ。だけど、あまたある世の中の情報の中から自分に必要な情報だけを汲み上げることが苦手。これを克服するよりも、趣旨が伝わった人からの直接情報を収集する方がきっといい。そう思い至り、勝手に情報ファンディングを立ち上げてみる。

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そして一番必要なものがネットワーク。

これまで少ないネットワークの中でたくさんの人に助けてもらった。

今後はこれまで以上にネットワークがカナメ。是非沢山の方からのご支援ご協力をお願い次第です。


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by morizo-archi | 2018-03-11 13:02 | 日本vs欧州調査レポート | Comments(0)


建築設計室Morizo-の思いを発信します。


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