カテゴリ:家づくり・ものづくり( 8 )

家づくり・ものづくり 08  材料選び

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杉で作った箱です。狩野新さんに作っていただきました。
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吉野杉です。ミスユニバースレベルの美しい材を吉野中央木材さんが製材してくださいました。

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洗面室の収納として毎日目にし、毎日開け閉めし、毎日幸せを感じます。
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以前使っていた籐の箱が傷んで修理が難しかったので、使い方はそのままに木で作ることにしたのですが、
構造をシンプルに、軽量、開閉、コストなどを丁寧に検討していただきました。
材料は杉と決めてましたが、材の品質と部位で値段が変わります。さあ、どうしましょう。

マグロに例えると、
どこかの漁場で、誰かが釣っったものを、どなたかが運んでくれたいずれかの部位のマグロと、
大間の漁場で、山田さんが釣って、田中さんが運んで、中野さんがさばいてくれた大トロと、、、、

どちらも美味しくありがたいマグロですが、確かな品質と満足度に付加価値があり、この値段差だと安いくらいだなと、感謝さえ感じるかもしれません。
ちょっとたとえが変ですが、、、、
とにかく。顔の見えるものづくりには、物の価値が見いだせる余地がまだまだあるということが言いたいのです。
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そして、若干コストが上がってもそれに勝るメリットもあります。
素材がいいと、作り手が作りやすい。すなわちいい仕事ができる。ゆえにきれいに仕上がる。結果使い手がうれしい。
プロでも鉋をかけるのがとても難しい杉。私はそれを知っているだけに余計にうれしいのです。

暮らしの全部をそんな基準で選びだすと大変なことになりますが、
事務所の洗面室に使うものだったので、
・毎日目にする
・小さいものだから差額が小さい
・これを見た人に一口に木と言っても、杉と言っても、材によっていろんな印象になることを伝えることもできる、、、、
などなど、いろんあ理由でこの材を選びました。

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実は、この良材を活かす技術が密かに隠されています。
どんなに目が細かく美しい杉でも、杉はとっても柔らかく、留め具の部分がすぐにぐずぐずになってしまいます。
それを前提に留め具の部分には硬い木をはめ込んでいるのです。
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材の美しさを邪魔しないように、パネルの合体は釘や金物が見えないビスケットで接着。求められた強度と美しさを叶えます。
興味本位で、制作中の写真を送ってくださいとお願いしたので作り方がわかりますが、このあたりの細かい部分は当然の対応としていちいち使い手に伝えないのが職人さんの特徴です。私だったらドヤ顔で説明してしまいそうですが、職人さんたちはなぜ言わないのでしょうか?当たり前すぎて言う必要がないと思っているのでしょうか?
ドヤ顔で説明されたらうざいかもしれませんが、技術や丁寧につくるられていることを知るのは使い手にとっても、すごくうれしいことと思うのですよ。
言うのが恥ずかしい方は職人ファンの私が代弁しますのでご一報ください。
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さて、しめます。
この小さな箱にはいろんな人の時間と手間がかかっていて、それをありがたく使わせてもらえる喜び。
暮らしのほんの一部にでもそう思えるものがある。それこそが豊かなことだなって、
私はそう思います。

by morizo-archi | 2017-06-11 12:58 | 家づくり・ものづくり | Comments(0)

家づくり・ものづくり 07 大工さんの道具

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暗くっても大丈夫。今や職人さんには当たり前のライトのつく電動ドライバー。
最近ではフィニッシュ(針のように小さな釘で木を留め付ける鉄砲)にまでライトがついているし、
エアーコンプレッサー(電気で空気の圧力を作ってホースで送る機械)なしで、近頃はなんでもコードレス。
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押し切り。
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これも光線が出て、今から切るラインが事前に確認できますし、
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集塵機付き丸鋸なども現場を汚さない道具として大活躍。
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丸鋸の進化も目覚ましく、精度、軽量、騒音、充電時間、などなど日進月歩です。
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でも私が、グッとくるのはやっぱり手動道具。
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のこぎり三丁が大切に革の袋にくるまれています。
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昼休みに研いだ刃は、きりっとかっこよく、台(木の土台部分)も自分用にカスタマイズされています。
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そして、つい見てしまう腰袋。その日使う道具が数あるポケットの定位置にしまわれて、その位置を手が覚えている。すっと取って
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しゃっと使う。この所作がたまらんのです。金槌の両側を確認する気配もなくしゃっと使うのです。
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で、やっぱり欠かせないのがねじり鉢巻き?!
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私がカメラを構えると、照れながらトントントン。
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職人さんたちは、「道具が仕事するからな」と謙遜して言いますが、その道具を使いこなせてこそ職人。自分が使いやすいように、いい仕事ができるように、道具を整えるのも大変なことです。


当たり前のようにスピードが求められる昨今、職人さんにとって道具は確かに重要な要素です。道具の選び方、情報収集を含めタイムリーに適応することが必須となっていて、技術も、体力も、資力もいる大変な職業なのです。暑い日も、寒い日も、問題が発生したときも、頑張ってやり遂げる!
エアコンのきいた部屋でのデスクワークとは仕事環境にも大きな差があります。

もっと職人さんのすごさを知ってほしい。切にそう思います。

職人好きだからいうわけではないですが、ほんとにすごいんですよ!




by morizo-archi | 2017-06-10 11:21 | 家づくり・ものづくり | Comments(0)

家づくり・ものづくり 06 大黒柱

あの大黒柱  が棟上げの日を迎えました。
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そう、あの木です。家族で山へ行って七代目山守の中井さんに切ってもらって、ヘリ出材した木です。

大切に養生されて現場に届き、家の真ん中に据えられました。面皮付きの八寸、立派な吉野檜の大黒柱です。
去年の夏に山で選ばれたこの木は伐採してもらってから、搬出、製材、乾燥、加工と沢山の工程を経て、この家にお嫁にきました。長い道のりでしたが、時間を掛けて嫁入りできるのはとても幸せなこと。長年育った山でのクセを少しづつ和らげ、新たな場所で活躍するためにしばし花嫁修業?ができたのです。
半年以上の間、天然乾燥と人工乾燥を繰り返し、ちょうどいいタイミングで新居に来ました。
木材の乾燥方法にはいろいろな手法があるのですが、大きな材を天然乾燥だけで乾かすのにはすごく時間がかかります。現代では機械に入れて乾燥を進める人工乾燥が主流になっているのですが、その手法にもいくつかやり方があります。
高温乾燥と言われる高い温度で乾燥を行うと、内部割れ(また別の機会に書きたいと思います)や木の粘り強さに寄与する油分がほとんど失われるなど、デメリットもあるので、私は中温~低温乾燥をしている材を選ぶようにしています。
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梁は地松(国産松)が減ってきて高額なため、安定供給されている米松を使うことが多いですが、これも中低温乾燥をしているメーカーさんの材を指定して入れて頂きました。
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今回のお家はプラン上の具合で平面が五角形です。
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えらいもので、プレカットもその角度に合わせてぴったり加工されています。
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四方からささった梁をしかり受け止める大黒柱。立派です。
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お父さんもこの日ばかりは休暇を取って、朝から写真やビデオ撮影に張り付きます。
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2階もどんどんと組み上がっていきます。
この日も常木棟梁の声掛けで仲間の大工さんたちが集結し、無事に棟が上がりました。
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このお家は、最初にご相談を受けた時から1年半が経ちました。
5歳だったたけちゃんはもう小学一年生。学校から帰って駆け付けてくれました。
これ誰の家?と聞くと自分を指さしにやにやしています。
そりゃうれしいですよね。ほんとにおめでとうございます。

この日嫁入りした大黒柱も、家族と一緒に健やかに第二の人生?を過ごしてもらいたいです。
ここまで育ててくれた中井さん、丁寧に製材してくれた石橋さん、きっちりと加工してくれた岡銘さん、
そして、無事上棟をしていただいた常木棟梁、伊藤社長、皆さんありがとうございました。

原木からの家づくり。家を建てる誰もができることではないと思いますが、
こんな風に時間をかけた顔の見える家づくりに立ち会えることを幸せに思います。

by morizo-archi | 2017-05-05 22:50 | 家づくり・ものづくり | Comments(0)

家づくり・ものづくり 05 左官やさんの道具

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左官屋さんの道具です。沢山あります。
これ、全部使うんですかー?
野暮なことを聞いてみます。

いや、そんなことないよ。
言葉少なく答える左官職人さん。
なんだか照れくさそうです。
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覗き込むと、出墨(でずみ:でっぱりのかどっこ)の小手だけでも軽く3つ。
微妙な面取(めんとり:角っこの丸みや角度)の違いだけでも何通りも必要な͡コテ。
柄の部分にはみんな自分の目印を刻んで、どんな対応も可能なように常に準備は万端です。
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左官屋さんの親方ハマグチさんです。
カメラを構えると照れながら顔をそむけます。
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他の職人さんももれなくそむけます。
一服のタイミングでみんなに話を聞こうとしてもなかなか答えてくれませんが、個別に聞くと言葉少なく答えてくれます。めんどくさいのか、とことんシャイなのか、ほんのり笑顔なのでやっぱり照れているのか。
職人さんて面白いです。
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この日は外壁の塗装下地の施工でした。水が引く加減を見ながらコテで平らに押さえていきます。セメントの素材感もまたいいですね。

沢山の職人さんの手仕事でできていく現場が、やっぱりいいなーと思います。

by morizo-archi | 2017-04-21 23:08 | 家づくり・ものづくり | Comments(0)

家づくり・ものづくり 04 職人さんの顔

職人さんの顔を見ていると
やっぱり、ものづくりしている人ってかっこいいなー。と思います。
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棟梁を筆頭に棟上げの日は7人の大工さんが力を持ち寄りました。
それぞれが持ち場を守ります。
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工務店の社長さんは敷地内の安全はもちろん、近隣への配慮気配りに従事します。
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レッカーを器用に操る操縦士さんも欠かせない存在です。かっこいいです。
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運送会社の人も加工場から現場へ大切に材を届け荷揚げ最後まで関わります。活き活きしています。

どの人もこの日に必要な職人さんたち。力を合わせないとできない家づくり。
事故なく予定通りの工程まで進めるべく、みんな気を引き締め、仕事に誇りをもって取り組む姿がとても素敵です。
そんな職人さんの顔を見るたび、やっぱりかっこいいなー。職人さっていいなー。と思います。


by morizo-archi | 2017-04-17 15:39 | 家づくり・ものづくり | Comments(0)

家づくり・ものづくり 03 大工さんとの出会い

勧められて、手刻みの現場の構造見学会に行きました。
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若い大工さんが、建売の仕事を辞めて手刻みの家に取り組みだしたのは10年前の28歳の時だったそうです。
自分が納得できる仕事をして喜んでもらえるんだったらちょっとくらい大変でもいいかなって思って。と、穏やかなしゃべり口調の沖本さん。
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木が好きで、子供が好きで、できるだけ自然素材を使いたい。基本的にビニールで囲うような高気密高断熱を目指す家よりも、読めそうでなかなか読めない自然の材を知恵と工夫で大切に使う家を目指したい。そんな話を大きくうなずきながら聞いていました。同感です。

でも、あったかい家にしてほしいと要望があればもちろんそれにこたえて、今回の家もアイシネンという吹付断熱にするなど、適材適所柔軟な対応も。

手刻みの仕事は独学だそうで、本やいろな資料を参考に自分で考えて、どうしてもわからない時には先輩や仲間に聞いて必死でやった。使ったことなかったCADも必要に駆られて使えるようになった。らしいのです。すごいなぁ。
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そんな沖本さんと刺激を受け合っている若い大工さんたちがぱらぱらと見学会を覗きに来ていました。あれやこれたと意見交換をしてる。職人さん不足のこの時代にこんなに熱心に自分たちの仕事を語り合っている姿を見て、心の底からうれしく思いました。まだ間に合う。ものづくりの精神をもった職人さんたちがまだまだいる。そんなことを感じた現場見学会でした。

by morizo-archi | 2017-04-10 12:00 | 家づくり・ものづくり | Comments(0)

家づくり・ものづくり 02 棟上げの日。

棟上げの日。
ハレの日です。
これまであれやこれやと積み上げて来た思いが一気に現場で形なって現れます。
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棟梁の仲間が集結して、現場の空気は独特なものに。
各自の持ち場を守ります。
真剣で、生き生きした表情。
それがすごくかっこいいんです。
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高いところで、足場のない場所でもすっすく歩く。
おしりにぶら下がっている腰袋には本日の手道具がしまわれ、
手探りでちゃっと取り出し、握り直すことなくさっと扱います。
無駄のない動きに、さすがプロだなとグッときます。
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みんなの働きを総括するのは何といっても棟梁。
自分の現場を止めて助っ人に来てくれる仲間が動きやすいように
手際よい段取りや指示はもちろん、気配りもしっかりします。
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この現場の若き棟梁、常木さん。
いつもにこやかに、現場を和ませるキャラですが
大工としてのポリシーも強く、いつもいろいろ教えてもらいます。
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そんな人柄や技術に協調するように、棟上げに集まった大工さんたちもめいいっぱい活躍してくれるのです。
この阿吽の呼吸が、ああ建前の日だなぁ~。と思うのです。



「建前」(たてまえ)。現場では、棟上げ(むねあげ)、上棟(じょうとう)のことをそういいます。
現場では職人さんしか使わない言葉が沢山。
ネット検索などなかったその昔、辞書を引いても出てこない。
それって何ですか?と職人さんに恐る恐る聞くしかない。
お前そんなことも知らんのか。と冷やかされながら
ちょっぴり業界用語を覚えるのがうれしかったのは20うん年前のこと。
あれから何件の建前に携わってきたかなーと。
今回も感慨深く、このおめでたい日に立ち会わせていただきました。




by morizo-archi | 2017-04-09 10:41 | 家づくり・ものづくり | Comments(0)

家づくり・ものづくり 01

現場では建て方の準備が進んでいます。
棟梁は若いですが仕事が丁寧で気が利きく常木さん。
頼もしいです。
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静かな動きでてきぱきと仕事をします。
腰袋には今日の道具が。
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引き渡しまで、そして建った後も、どうぞよろしくお願いいたします。


by morizo-archi | 2017-02-28 11:52 | 家づくり・ものづくり | Comments(0)

建築設計室Morizo- 設計士の目線で暮らしや空間のあれこれを発信します。


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