2回目のセミナーのテーマは道づくり。
今日も日独森林環境コンサルタントの池田憲昭さんによるドイツ森林業を学んだ。
道づくりについては日本でも林業の重要なテーマとしてたびたび大きく取り上げられる。
作業効率やコストにたぶん最も大きな影響がある。
いかに道を付けるかで経営がぐんと変わると思われる大きなテーマ。
ドイツでの道づくりの考え方や具体的な設計、施工、工夫など事例を挙げての解説はとても分かりやすかった。
日本とは全く違うその方法や、考え方は理にかなってるし、なるほど~と思えた。
こっちにきて常々感じるドイツのものづくりのベースが「頑丈・長持ち」であることをここでも感じた。
そして日本の現状のやり方だと補助金を使って作った道の80%が数年後には痛んで使えなくなっているという現実にびっくりした。
誰かが作業道は間伐が終わったら使わず自然に返してまた次の間伐の間伐時期に必要な作業道を作るのもありと言ってたけど、
補助金で作った道なら税金の使い捨てにはどうかと思うし、20,000円/mで長持ちするみつが作れるならそっちの方がいいのかもと思ったり。
でも、吉野の林業を主に見てきたせいもあって、正直セミナー中はやっぱりドイツの方法はさすがに吉野では無理では?思ってた。
所有者不在どころか、所有者不明の山や、もっと厄介な超細切れに細分化された山に共有の道を付ける交渉をするのは大変。
日本の行政は担当者が2、3年で変わってしまうし今の基準に合わせて補助金を使うのもこれまた大変。
ドイツのように市民が生活の一部として自由に散歩していい林業地は日本にはたぶんまだ少ない。
いろんな面で日本とドイツではだいぶ違う。
やっぱり日本では、、、、無理ちゃいますか。と日本の林業関係者さんたちが言いたくなるのはすごく想像できる。
今日もまた質問してみた。
自然を活かした大橋式はどうですか?と。
道際の立木を当てにしてるから木の成長と共に道が使えなくなってくるかも。と。
たしかに。
ここでもやっぱりどのくらいの期間使うかの設定が違うのかもしれないと思った。
所有者細分化や急傾斜の問題についても、今すぐできない山ではなくまず出来るところでいい事例を作るのがいい。と。
たしかに。
ドイツの「出来ることを直ちにやる」って感覚にはほんとうにいつも感心する。
そういえば前に読んだ本では日本とドイツの林業の歴史は似てるところが結構あると書いてた。
ほぼ同じ時期の拡大造林。単一樹種林業。木の文化。その後の産業革命。
これまで林業における同じような繁栄期や課題もきっとあったはず。
日本は全盛期の余韻を引っ張り過ぎて、時代変化の課題に取り組めないままのかもしれない。
ドイツは50年前から道づくりを試行錯誤してきた先輩。
だいぶ後れを取ってるけど、今は林家さんもZoomで国をまたいで情報を直接聞ける時代だし、
鶴居村や岐阜のようにドイツ式をすでに実践しているところもあるらしいし。
折角先輩国がいろんな実践案を教えてくれるんだから試してみてはと、言うのは簡単。
だけど、今のままでは日本の林業あかんのとちゃう?何とかせなあかんのんちゃう?と関係者はみんなわかってる。
ほんとにどうなるのか心配してしまう。

ライトで上空のヘリコプターに位置を知らせる山師。かっこいい。
2016年吉野でヘリ集材に立ち会わせてもらった。設計した家の大黒柱をクライアントと見に行った山。
何度も行ったのに道がないから一人の時はいつも迷った。
昔、中新木材さんになんちゃって丁稚で吉野林業を体験させてもらったときは、一部の山でまだトビで原木を一本一本手で引きずって下した。
江戸時代ですか?と思った。
恐ろしく重労働で危ない作業。現場に行くだけでも大変。昔の人はみんなこんな仕事をしてたのかと慄いた。
個人的にはこんな林業地もどこかには残っててほしいような気もする。
でも、こんなことを思うのは経営者でも作業者でもから。いくら銘木産地でもすごく大変なことも知ってる。
とにかく日本の林業、応援しかできないけど頑張ってほしい。