日本vs欧州調査レポート 04 日本一の広葉樹市場

2018.04.14

▲▲▲岐阜広葉樹原木市見学▲▲▲

①調査コンセプト【杉桧の原木市との違いを見る】

昨年東京ビックサイト出店時に知り合った岐阜の「ヤマガタヤ産業株式会社」田中開発本部長さんに広葉樹原木市をご案内頂いた。

毎月2日間開催される競り市は、初日が板材、2日目は原木。今回は大きな市の翌月のため、規模が小さめとのこと。それでこの多さ、大きさ。関西圏の杉桧原木市とずいぶんな差がある。
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買い手は、事前にめぼしいものを見に来てアタリを付けておいて組合の振り子さん(ここの振り子さんは鐘を振ってなかったけど)の掛け声に合わせて競り落す。だれも手を上げないものもあれば、人気の材はみんなほしがり競り上がっていく。売り手の希望金額から始まり倍以上になるものもあったけど、この日の落札率は5割を切っていたように思う。

会場には売り手さんも来ていて、買い手が誰も手を挙げないと値下げの合図を出す。その値段なら興味あり!という買い手との駆け引きが始まり、競りの中で落札額の折り合いを振り子さんが付ける。このときお互い横にいるのに直接は目を合わせず振り子さんを介して意思表示をするのが私的にはなんとも面白い。
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②内容【材について】

広葉樹は日本中から岐阜に集まるらしい。世の中の主流が杉桧の取引となっていたころから熱心に広葉樹を売り買いし続けた実績が、日本一を誇る広葉樹市場に成長させた。良材沢山集まるから、いい買い手が集う。いい買い手が集うから、いい材が出品される。年に3回の大市ではさらにその威力が増すらしい。

樹種も最近出材量が多いケヤキに始まり、クリ、トチ、ナラ、赤松、など多種多様。そのほとんどは育林されたものではなく、寿命を迎えた老木や神社仏閣のご神木と言った立派なもの。

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なんといっても針葉樹市との違いは原木一本の材積。この日の最大は7㎥近かった。こんなのどうやって使うのか?そもそも普通の製材所ではきっと製材できないはず。目あいも良く、年輪も細かい良材。きっと銘木賞に見合う価格で落札されたに違いない。特に大きいものや、選ばれし良材は立米単価ではなく、一本単価で値が決まる。

材の状態も様々で、ウロが大きく入ったものや、病気にかかって手当を受けていた跡のある木、土場に置かれてる間に飛んできた種が発芽して別の植物が育ち始めているもの・・・。広葉樹の使い方は千差万別なため、状況がどうであれほしい人にはお目当て材となる。そういった面でも杉桧との違いは大きい。

トレーラーでないと運べない巨大な丸太やド迫力の原木を横目に、前日の板市の材も見学させてもらった。
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板材と言えども、とにかくデカい。去年原木で数百万円で落札された材が今年は板材になって競りに出されていたらしく、かなりいい値で取引されたとのこと。これは成功例だが、原木購入はバクチとよく言われる。良材が曳けたら儲かるけれど、そうでない場合もあれば、材の中に石や鉄が入っていて帯鋸の刃が欠けるなど、曳いてみないとわからないリスクも多い。

育林された杉桧と違って自由な形をしている分だけに歩留まりも悪く、ロスが大きい。そんなリスクに今一度挑んで商品開発を試みるヤマガタヤ産業さん。すごいなーと思う。

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社長さんは現在岐阜銘木協同組合の会長もされていて売り買いにも参加。あれはヒッコリ。スキーの板にする木だよ。こっちはヤナギ。これはいい玉杢が出てるね。あれは本人しかわからない暗号のメモ。などなど、いろいろ教えてくれた。
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次々と巨大な良材を見せてもらい、もう感覚がマヒしてくる。サイズも大きすぎて写真に納まりきらない。
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一緒に行った才本さんは背が高いはずなのに直径がその背を優に越している。例の成功例のケヤキの一部。ほんとに日本にあった木なのか疑ってしまうほどのサイズ感。

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元(木の地面に近い部分)の欠片ですらこのカタマリ。人が一緒に写ってないと大きさがよくわからない。

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広葉樹だけでなく杉桧もある。これはほぼ無節で8m。東濃桧の赤味は薄いピンクでとてもきれい。いったい何に使ったらいいのやら。

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珍しい黒柿孔雀杢。これが希少で高値が付くことを知らない地方では薪にして燃やされていたことや、屋久杉のような産地認証のシールの有無が値を左右することなどの裏事情を教えてもらったり、最近沢山出回っているケヤキは安く、この前まで安価だったトチは流通量が減ると途端に高騰し始めている、など興味深い話は尽きない。
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③まとめ【Morizo-の目】

広葉樹の幅広い市場に加え、多彩な用途とデザイン性は、杉桧以上に時代や流行の影響を受けているように思えた。またその流れが速く、時価の変動が大きいように思う。

市場の規模が大きいことに驚いたものの、ここは日本中から集まった最大級の市場だから。供給量は杉桧に比べるとかなり少ないため、需要が少し増えるとすぐに品薄になる。用途によっては少なくとも2、3年寝かさないと使えないものも多く、決して安定的に欲しい材がいつでも手に入るわけではないのかもしれない。

実際建築現場からは「○○は今手に入りにくい」「○○の値がすごく上がっている」などと言われ仕様変更を打診されることも少なくない。広葉樹は外材の割合も多く、輸入先の国策や、国際情勢によっても状況がコロコロと変わる不安定な市場だと思う。

経済の為に必要以上に売買していると、そのうち200300年生の貴重な資源を枯渇させてしまう可能性もある。遠い先まで見据えた計画的な伐採や、環境保全を誰が何処でどのタイミングで考えているのか、どんなビジョンを立てているのかとても気になる。というか心配になる・・・。


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最後にヤマガタヤさんの準備中工場も見学させてもらった。染色ピアノ塗装品や、藍染天板、その他にも5000枚を超える天板材など、桁外れの商品力を武器に新たな展開を試みる元気な会社。地方の産業と雇用を支えているのも素晴らしいと思った。製材所から流通、そしてメーカーへ、100年の実績と、時代に沿った柔軟性で、一つの新しい材木屋さんの在り方がここにあると感じた。この度は貴重な体験をさせて頂きありがとうございました。


ヤマガタヤ産業株式会社さんのABOUT

創業大正72月(設立昭和498月) ヤマガタヤ産業が誕生してから100年。岐阜で生まれ、岐阜で育ってきた、地元密着企業。岐阜が大好きで、岐阜に何か貢献したい、という想いでいろいろな事業にチャレンジしている。



◆◆◆「建築設計」「建築に関わる職人」「木と森・林業」をテーマに◆◆◆

今年10月から欧州を滞在調査予定。それに先立ち日本国内も改めて視察。随時レポートを配信中。










by morizo-archi | 2018-04-19 22:05 | 日本vs欧州調査レポート | Comments(0)

建築設計室Morizo- 設計士の目線で暮らしや空間のあれこれを発信します。


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