職人車座トーク

2017.11.23 四天王寺 本坊客殿
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上町台地の歴史と未来創造シンポジウム・・・・なんてえらく大そうな企画に参加しました。二日間のプログラムは盛沢山すぎてなんだかもうよくわかりません。
とにかく上町台地や社寺をテーマに歴史や文化や産業から未来を見る!?という、壮大な企画だったのです。

初日は、文化や技術・産業という切り口で器プロジェクトも「職人車座トーク」に参加。翌日のシンポジウムにその報告を持っていくという大役をおおせつかり。
職人車座トークでは主に木造伝統建築に携わる12名の職人さんの現状や思いを聞いて、来場者さんからも意見をもらう参加型企画でした。

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当日直前ミーティングで初顔合わせとなるパネリストの皆様。どなたもやる気に満ちた個性的なつわものデス。
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その間、会場では着々と準備が進められます。
パネリストとスタッフだけで20名を超える贅沢な構成。
気合を入れて準備をした反面、こんなニッチな企画にどれだけの方が足を運んでくださるか心配でした。

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ふたを開けると、学生さんや一般の方を含め業界の人なども沢山の方にお越しいただき、いよいよスタート。
まずは和室を組み立てるデモストレーションです。今回は木工:前田 秀幸、表具:中野 泰仁、中野 智佳子、畳:大江 俊幸の4人のメンバーで挑みます。

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金物を使わず組み上る「器」(三畳の和室)はまさに木造の伝統技術を取り入れたもの。
人前で組み立てるのは初めてでメンバーはドキドキ。組み上がるまではゆらゆらして見てる皆さんもハラハラ。
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使われてる材やデザインの工夫、作り手の思いなどの解説をしながら15分ほどで無事に組み上がりました。
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組み上がった和室の手漉き和紙襖にイメージ映像を映し、来場者の方に職人さんたちの仕事ぶりを想像して頂きます。
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木造建築が出来上がるまでには沢山の職人がかかわっていることを映像制作の大橋了久さんに、ビジュアル化して頂きました。今回お招きしたパネリストは12名。林業、製材、大工、断熱、木工、畳など、そのほんの一部の業種の方々です。
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そしていよいよトークタイム。普段人前でしゃべることのあまりない職人さんたちも多く、緊張している様子がうかがえます。
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トップバッターは中神木材 山守 中井章太さん
朝は林業、昼は議会と幅広い視点を持った山守さん。先代から引き継がれてきた林業を守るため、未来に向けて人を繋ぐ様々な取り組みをしています。山に行くといつも笑顔で迎えてくれる中井さん。こんな林業家が存在することがとっても嬉しいです。
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すこし緊張気味の坂本商店 銘木店 坂本哲郎さん
吉野のイケメン若手、家業製材所の三代目です。山にいつか恩を返せるようにいい仕事をしていきたいと、初々しく語ってくれました。自然の中で育つとこんなに素直ないい子になるのかと思ってしまうほど好青年。吉野の未来が明るく見えます。
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なんと、鉞を持ってきてしまった 喜三郎 大工 沖本雅章さん
人前で喋るのは初めてと、小学生さながら、手刻み大工に至った20年間を作文にして読み上げました。大好きな木と大工の仕事に対する真っすぐな気持ちが、たどたどしく伝わり聴衆を引き付けます。これはもしや作戦か!?と思えるほど会場が引き込まれます。
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美容師から心機一転大工を目指す株式会社山本博工務店 山田晋也さん
農業や暮らしなどサスティナブル的なことに関心を持ち始めて、自分の家を自分で建てたいという安易な理由から大工をかじり始めたというニュータイプ!? 携わるうちにその奥深さに魅了されていたところ、今回の企画でもいろんな刺激を受けて、もっと大工を頑張りたくなった。と、嬉しい言葉を聞かせて頂きました。
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元気いっぱい、超前向きな 有限会社ケイジー断熱 断熱ソムリエ 古川和幸さん
日本で断熱が普及し始めたのは70年代のオイルショックがきっかけ。2020年には住宅の断熱性能が義務化され、怠っている建物は価値が下る可能性がある。という話など私達にも身近で具体的な話で断熱を語って頂きました。古川さんが高性能断熱を扱う反面、茅葺を残す活動にも参加する訳は、数値ではなく豊かな暮らしの本質を目指しているからとわかりました。
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愛媛県に移住準備中の 身の丈建築工房 大工・断熱職人 都谷大輔さん
大工をしていた都谷さんが断熱工事も手掛けるようになったのは、お父さんが家の中でヒートショックで亡くなられたのがきっかけだった。地震で倒壊した家の修復に携わったときにも断熱不足による柱の腐食など不具合を多数見た。穏やかな話し方の中に強い意志が感じられる職人さんです。身の丈工房という社名や地方移住への思いももっと聞きたい「気になる」方ですね。
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当日に備えてMorizo-事務所を訪問してくださった 有限会社川口商店 卸問屋 川口洋さん
間もなく創業100年の襖・表具材料卸問屋三代目。時代の流れで減って行く和室、使い手の顔が見えないモノづくりを何とかして生業を続けていきたい。そう思って始めたユーザーへの商品説明や工事の請負からいろんなものが見えてきたと言います。自分の扱う「襖材」を愛してやまない川口さんの今後の仕事にも注目したいです。
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畳が好きすぎるベテラン職人 有限会社あわとく 畳職人 徳千代 泉さん
こだわりいっぱいで好奇心旺盛な徳千代さん。長年扱ってきたイ草の品評会に三年前から通い始め、産地でイ草の刈り取り作業や製織体験をして改めて農家さんの思いを知ったといいます。これをちゃんとした価格でちゃんと使い手に届けるのが今の自分の務めだと語る徳千代さん。産地と使い手をつなぐのは流通やデザインばかりではなく、職人さんまでも関わる事例がここにもありました。
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今年職業訓練校を卒業したばかりの一年生 株式会社未来工房  吉田祐子さん
自分でものを作れるようになりたいと、ものづくりのせかいに飛び込みました。まだ駆け出して何もわからないけど、、、、。消費者がもう少し、価格ではなくものの良さを基準に買い物をすると、ものづくり業界がよくなるのはずと語ってくれました。自分も含め、作り手と消費者の両方の目線を備えることが大切だなと思いました。この日に向けて始めて杉で折敷を作った吉田さん。苦戦するも頑張った甲斐あり素敵な作品ができました。
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社寺建築のホープ 株式会社鳥羽瀬社寺建築  鳥羽瀬史如
6年間関東で宮大工の修業をして4年前に大阪に帰ってきた鳥羽瀬さん。現在は創業者のお父さんのもと設計から構造計算、施工まで堂宮大工の棟梁目指して頑張っています。伝統技術や社寺建築には耐震や修繕可能な木造ならではの良いところがたくさん詰まっていると語ります。緊張しながらも伝統建築の良さを胸を張って語る若手職人さんに感銘を受けます。こういった人がいる限り、機械化が進んでも手仕事でしかだせない温かみある建築が残っていくと思います。
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なかなかの濃いキャラクターの 株式会社久宝金属製作所 古川多夢さん
自社ブランドの製品を企画、開発、製造、販売、アフターまで行う珍しい町工場の三代目社長。ものづくりは暮らしを豊かにするための手段と語る多夢さんは作る過程や使う人の気持ちを大切にしていると言います。今ないもの、他社にないものを企画開発して提供する楽しさを、職人とは違ったものづくりの視点で語って頂きました。
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さて、最後は問題児?いや先を行く  木工家・各具デザイナー 賀来寿史さん
木工職人に始まり、デザイン、モデラー、クリエーターや工房を繋ぐ企画、ワークショップ活動に至るまで、木工のことならなんでもござれのこの方。一歩先行く視点でこの企画にほんの少しアクセントを添えてほしくてお招きしました。が、、、、「職人の域に達していない奴は職工という。自分で考えて作って納めることができるようになって初めて職人と呼べる」などなど、この鋭い突っ込みが刺激的過ぎて。。。。

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翌日のフォーラムで全体の座長を務める   京都大学名誉教授、京都美術工芸大学教授 高田光雄先生
職人さんたちの話を聞いて、素晴らしいと絶賛。大阪には昔から素晴らしい建築文化やシステムがあったこと、それがいかに合理的で理にかなっていたかというお話を頂きました。歴史として語られてこなかった大阪の約1000年間にも、暮らしや技術が引き継がれていたと語られました。


二時間目はパネリストも参加者さんも半分ずつに分かれて、車座トーク。
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職人さんに興味のある学生さんや社会人、自分もものづくりに携わっているという方など多種多彩な車座。パネリストの話を聞いて感じたことなど意見を頂きましたを交換しました。
Bグループでは、発言の際「職人」と言いかけて慌てて「職工」と言い直す方が続出。一時間目の刺激がすっかりトラウマになっています。
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パネリスト同士も、林業家と断熱ソムリエが何やら意見交換。同じ物件に携わっても現場では決して会うタイミングがない業種がこの企画では言葉を交わします。
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鉞を持ってきちゃった大工さんに家を建ててもらったというお施主さんも参加されてアットホームな空気も流れるAグループ。こういう関係が理想だな〜と嬉しくなります。
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再度集合して各グループで出た意見をまとめる最後の総括タイム。翌日のフォーラムに持っていくとりまとめを行います。まとめきれないほどの沢山の意見やアイディアが出たのですが、企画上のミッションにより何とか頑張ってまとめにかかる進行役。それを遮るあの問題児。いえ、先行く人。。。。

頑張る職人さんに「スポットライト」を!という言葉が引き金になり、押してはいけないボタンを押してしまったようで紛糾。総括タイムが終わらない、終われない。反論するもさらにエキサイト☆
そのバトルをドン引きで眺めている人、あっけにとられている人、これが一番面白いとにやにや笑っている人、、、、

個人的には刺激強めのアクセントにはなって、定型通り賢く終わるより良かったとは思うのですが、もうすっかり「スポットライト」がトラウマです。アマ噛みでよかったのにマジ噛みやん。未だ傷口が痛夢、、、、いつかリベンジしたろ。



さて、気を取り直して、交流タイム&器体験。
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興味がわいた人や話し足りなかった人同士名刺交換やフリートークを楽しんで頂き、和室に入りたい方は順次「器体験」を。あっという間に時間は過ぎましたが、今後もご縁が繋がるきっかけを各自作って頂けたかと思います。
ここで、この日のプログラムは無事(?)終了。皆様お疲れ様でございました。

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もうすっかり日も暮れていますが、器メンバーの役目はまだまだ終わりません。
翌日の企画に向けて重要文化財の五智光院に「器」を移設!
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本日二度目の組立作業。襖の向きや設えを変えて設営します。
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環境が変わるとこんなにもイメージが変わるのかというほど様変わりする「器」
荘厳な場所に設置させていただいて別嬪さんに見えますね?
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翌日夕方からの講談+クラッシック講演には150名を超える来場者の方に見て頂きました。
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大阪や上町台地を舞台にした創作講談とそれをイメージしたテレマンアンサンブルの組み合わせはなかなか見ることができない貴重な音楽絵巻。ステキでした。


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さてさて、今回もいろいろ盛りだくさんな企画でクタクタになった二日間。2日目の昼間のシンポジウムでも、改めて器プロジェクトのことや今の自分を見直すいい学びがありました。
この続きは、そのうちまた。

職人車座トークに登壇していただいた12名のパネリストの皆様、ご参加いただいた来場者の皆様、企画に携わっていただいた皆様、ほんとにありがとうございました。
これをご縁にまたお会いしたり、切磋琢磨したり、できれば幸いです。この度はありがとうございました。

2017.11.23
Morizo-内田





by morizo-archi | 2017-11-26 15:50 | 器PROJECT | Comments(0)

建築設計室Morizo- 設計士の目線で暮らしや空間のあれこれを発信します。


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