もくちくカフェweb版 03 林業@中神木材

今回は突発的に行くことが決まった林業地のレポートからお届けします。
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朝の林業地
なぜか決行した1人野宿明けの朝。5時に中井さんと待ち合わせて林業地に向かいます。あんなに怖い思いをしたのに朝の山はほんとに気持ちいいです。この時期、4時過ぎには明るくなり始めるので山守さん達は普通に5時くらいからでも山に入ります。
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こんな斜面です。もう私には80度くらいに見えてしまうのですが、、、、。私を気遣ってゆっくり登る中井さんの後を必死についていきます。
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登ること1時間。山守さん達は、この距離を、このアップダウンを、普通に道具と燃料を担いで歩いて登り、その先で力仕事をするのです。すごいです。
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到着。朝日が気持ちよく差し込みます。
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ぅう~ん。何とも言えません。
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中井さんがコーヒーを入れて下さいました。どこまでも気遣いの人です。
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大黒柱の下見
頂上に近いところのこの辺りでH邸の大黒柱を見繕って頂いてます。幹にピンクのテープを巻いているのが見えます。直径25cm程度の数本の候補の中から選ぶ予定です。H家はおじいちゃんが大工さんで、木や自然にも関心があります。昨年末には子供たちを連れて製材所や林業地にまで来て頂きました。原木から家を建てるというストーリーにもとても興味をもって頂いているので、ぜひ実現させたいです。

さて、その木を切るのはもう少し先ですが、この日は前日に切った木に「サシ」を入れる作業をするとのこと。せっかくなので仕事を少し見学させていもらいました。
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数本木が切られて寝ています。この山から今年初の出材です。1時間かけて登ってきた道を担いで持って帰るわけにはいきません。さてどうやって山から出すのでしょうか。
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林業の事情
正解は、ヘリコプターで吊上げて運ぶのです。吉野ならではと思いますが、林道をつけにくい事情があり、ヘリ出材をすることは珍しくないのです。定規(白い棒)を持って印をつけています。棒の長さは約2m。真ん中の1mのところにもラインがあります。建築建材の一般的な流通長さ(よく使われる長さ)が3mか、4mですのでその長さに切る印を付けます。木の曲りや、癖を見て、どの部分で4mとるか、3mにしてしまうか、決める作業を「サシを入れる」と言います。もちろん長いままの方が価値は高いのですが、曲がりや難点があると価格はがたっと落ちます。ヘリが一回に吊りあげれる重さも決まっているため、むやみに長いまま出せません。また、ヘリは分単位でコストが掛るので効率よく、且つ高値で売れるものしか連れて帰れないのです。
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中心がちゃんと真ん中で、枝打ち(材木にしたときに節が出ないように枝を切る作業)も若いときにしっかりしてあるのがわかります。ふーん。と思うかもしれませんがすごいことなんです。一見、単なる木の断面ですが、いろんなことがここからわかるのです。年輪を数えると樹齢110年ほど。雨の日も風の日も自然にさらされ、台風や雷を免れ110年間じっと立っていたのです。吉野では他の産地よりも密集して木を植え、少しずつ間伐(間引き)を行い、一気にブクブク太らないよう丁寧に育てます。良材を作る為、選りすぐりの子を残しゆっくり育てます。110歳になったこの子は、ヘリを使ってでもお嫁に出す価値のある選ばれし子となりました。ミスユニバースなみです。
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悲しい現実
そんな手塩にかけた子ですら、全身を連れて帰れないのです。理由は木材の値段が安くなりすぎたからです。出せば赤字になる部分は泣く泣く置いていくのです。例えば、直径23cmほど、長さ1.5m、十分きれいです。連れて帰りたいです。でもこれを出そうとすると、コストや時間、労力に見合う値段がつかない場合どこかに無理が来る。なので置いていくしかないと判断します。悲しいですがこれが今の日本の林業の現実です。吉野以外のヘリなど使わない林業地でも捨て切り(切っても出材しない)をすることは少なくありません。かといって切らないっと木が育つにつれ生い茂り満員定員オーバー、真っ暗で、不健全な森になってしまいます。
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木という素材は大きさや重さがあり、運搬にとてもコストがかかってしまうのです。また、吉野のように丁寧に育てた材ほど、丁寧に扱わないと数十年、数百年、何世代もかかって育てた材の価値が一瞬で落ちてしまいます。吉野の山守(やまもり)さん達は現実と先祖の思いを背負って、今求められていること、数十年後、数百年後のことも考え、冷静に判断し山を守っています。これはすごいことです。
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山守(やまもり)という仕事
木の元(根に近い方)をみて、末(木の上の方)をみて、曲がりをみて、連れて帰る部分を決めます。電卓も使わず、どの材とどの材を何本吊り上げるのがベストか、重量は合理的か、効率的に運べるか、流れるように決めていきます。山での時間は貴重。もたもたしません。

また、立っている木のどれを切ってどれを残すか。何年後にどんな手入れをするか。山主さんの意向を聞きながら先を見据えたアドバイスをするのも山守さんの大切な仕事です。頭も力も気も使う大変なお仕事です。過酷で危険でしかもある意味国土を支える職業。国土の約七割が森林、そのうちの四割が人工林なんです。もう少し優遇されないと林業従事者がどんどん減ってしまいます。雨は山に降り川を流れ生活水となって私達の暮らしを支えます。日本中に山のお世話になっていない人は一人もいないと思うのです。私ができることは小さすぎますがせめて山のこと、木のことを知ってもらうきっかけになればと、地味に発信を続けたいと思います。
今回は林業のごく一部にスポットを当ててみました。まだまだあるのでこの続きはいつかまた。

さて、今回のカフェタイム
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「シノギのシロップ入れ 中」1,700円
作者:河原崎優子:信楽にて作陶 
やままちギャラリーにて展示販売中
13:00-19:00(月・火曜定休日)
商品情報:さいえ

【Morizo-チョイスポイント】
実は前から狙ってました。ソースやミルクピッチャーに
口が広くて、入れやすく洗いやすい、優しいフォルム。
今回はお干菓子とミルクティーです。
いつかプリンを作ってカラメルを入れるのを夢見ています♡



by morizo-archi | 2016-06-30 03:14 | もくちくカフェweb版 | Comments(0)

建築設計室Morizo- 設計士の目線で暮らしや空間のあれこれを発信します。


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