棟上げの日。
ハレの日です。
これまであれやこれやと積み上げて来た思いが一気に現場で形なって現れます。
棟梁の仲間が集結して、現場の空気は独特なものに。
各自の持ち場を守ります。
真剣で、生き生きした表情。
それがすごくかっこいいんです。
高いところで、足場のない場所でもすっすく歩く。
おしりにぶら下がっている腰袋には本日の手道具がしまわれ、
手探りでちゃっと取り出し、握り直すことなくさっと扱います。
無駄のない動きに、さすがプロだなとグッときます。
みんなの働きを総括するのは何といっても棟梁。
自分の現場を止めて助っ人に来てくれる仲間が動きやすいように
手際よい段取りや指示はもちろん、気配りもしっかりします。
この現場の若き棟梁、常木さん。
いつもにこやかに、現場を和ませるキャラですが
大工としてのポリシーも強く、いつもいろいろ教えてもらいます。
そんな人柄や技術に協調するように、棟上げに集まった大工さんたちもめいいっぱい活躍してくれるのです。
この阿吽の呼吸が、ああ建前の日だなぁ~。と思うのです。
「建前」(たてまえ)。現場では、棟上げ(むねあげ)、上棟(じょうとう)のことをそういいます。
現場では職人さんしか使わない言葉が沢山。
ネット検索などなかったその昔、辞書を引いても出てこない。
それって何ですか?と職人さんに恐る恐る聞くしかない。
お前そんなことも知らんのか。と冷やかされながら
ちょっぴり業界用語を覚えるのがうれしかったのは20うん年前のこと。
あれから何件の建前に携わってきたかなーと。
今回も感慨深く、このおめでたい日に立ち会わせていただきました。