杉で作った箱です。
狩野新さんに作っていただきました。
吉野杉です。ミスユニバースレベルの美しい材を吉野中央木材さんが製材してくださいました。洗面室の収納として毎日目にし、毎日開け閉めし、毎日幸せを感じます。
以前使っていた籐の箱が傷んで修理が難しかったので、使い方はそのままに木で作ることにしたのですが、
構造をシンプルに、軽量、開閉、コストなどを丁寧に検討していただきました。
材料は杉と決めてましたが、材の品質と部位で値段が変わります。さあ、どうしましょう。
マグロに例えると、
どこかの漁場で、誰かが釣っったものを、どなたかが運んでくれたいずれかの部位のマグロと、
大間の漁場で、山田さんが釣って、田中さんが運んで、中野さんがさばいてくれた大トロと、、、、
どちらも美味しくありがたいマグロですが、確かな品質と満足度に付加価値があり、この値段差だと安いくらいだなと、感謝さえ感じるかもしれません。
ちょっとたとえが変ですが、、、、
とにかく。顔の見えるものづくりには、物の価値が見いだせる余地がまだまだあるということが言いたいのです。
そして、若干コストが上がってもそれに勝るメリットもあります。
素材がいいと、作り手が作りやすい。すなわちいい仕事ができる。ゆえにきれいに仕上がる。結果使い手がうれしい。
プロでも鉋をかけるのがとても難しい杉。私はそれを知っているだけに余計にうれしいのです。
暮らしの全部をそんな基準で選びだすと大変なことになりますが、
事務所の洗面室に使うものだったので、
・毎日目にする
・小さいものだから差額が小さい
・これを見た人に一口に木と言っても、杉と言っても、材によっていろんな印象になることを伝えることもできる、、、、
などなど、いろんあ理由でこの材を選びました。
実は、この良材を活かす技術が密かに隠されています。
どんなに目が細かく美しい杉でも、杉はとっても柔らかく、留め具の部分がすぐにぐずぐずになってしまいます。
それを前提に留め具の部分には硬い木をはめ込んでいるのです。
材の美しさを邪魔しないように、パネルの合体は釘や金物が見えないビスケットで接着。求められた強度と美しさを叶えます。
興味本位で、制作中の写真を送ってくださいとお願いしたので作り方がわかりますが、このあたりの細かい部分は当然の対応としていちいち使い手に伝えないのが職人さんの特徴です。私だったらドヤ顔で説明してしまいそうですが、職人さんたちはなぜ言わないのでしょうか?当たり前すぎて言う必要がないと思っているのでしょうか?ドヤ顔で説明されたらうざいかもしれませんが、技術や丁寧につくるられていることを知るのは使い手にとっても、すごくうれしいことと思うのですよ。言うのが恥ずかしい方は職人ファンの私が代弁しますのでご一報ください。さて、しめます。この小さな箱にはいろんな人の時間と手間がかかっていて、それをありがたく使わせてもらえる喜び。暮らしのほんの一部にでもそう思えるものがある。それこそが豊かなことだなって、私はそう思います。